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遺言
死亡危急時遺言とはー闘病中に病状が急変・・急いで遺言を作成したいときー
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死亡危急時遺言とは
遺言書は通常、普通方式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)で作成する必要があります。
しかし、死期が迫っていて時間的余裕がない場合等に、簡易な方法で遺言を作成することが認められています。これを死亡危急時遺言といいます。
自筆証書遺言で遺言を作成するには、全文自署して押印できなければいけません。
また、公正証書遺言で遺言書を作成するには、事前に財産資料を用意し、公証人と内容について打ち合わせる必要があります。
公証人側の都合もありますので、すぐに予約が取れるとも限りませんし、急ぎの場合には不向きです。
要は、自筆証書遺言を作成できるほど体の自由がきかず、公正証書遺言を作成できるほど時間的余裕のない場合に利用できる遺言作成方法です。
死亡危急時遺言の要件
死亡危急時遺言が有効とされる要件は下記のとおりです。
①疾病等の理由によって死亡の危急が迫っていること
②証人3人以上が立ち会うこと
③遺言者が口頭で遺言の趣旨を述べ、証人の一人がこれを筆記すること
④筆記した証人がその内容を、遺言をした者と他の証人に読み聞かせるか閲覧させて、各証人が筆記した内容が正確なことを承認した後に証人全員が署名捺印すること
死期が迫っている場合の遺言なので、遺言者本人の署名捺印は不要です。文字が書けない方や聴覚、言語機能に障害のある方でも利用することが可能です。
死亡危急時遺言は作成後20日以内に、家庭裁判所の確認手続が必要
死亡危急時遺言は、作成後、家庭裁判所での確認手続が必要です(後述する検認手続とは別の手続です。)。
証人のうちの一人または利害関係人から、死亡危急時遺言作成から20日以内に、家庭裁判所に確認の申立てをします。
緊急時に作成される遺言であるため、本当に遺言者の真意に基づいて作成されたものなのか判断する必要があるのです。
確認の申立がなされると、家庭裁判所調査官は遺言者が存命中であれば、遺言者本人に直接遺言の内容が真意かどうか確認に行きます。
既に死亡していたり、意思を表明できない場合には、関係人からの事情聴取や、資料の提出を求める等して真意であるかどうか判断されます。
確認の申立てが20日以内に行われない場合や、家庭裁判所が遺言者の真意であると判断できない場合には、遺言は無効となりますので注意が必要です。
なお、家庭裁判所の確認の審判がなされた場合についても、遺言の有効性について後日裁判で争うことは可能です。
死亡危急時遺言は家庭裁判所の検認の手続きが必要
上記の家庭裁判所の確認手続とは別に、死亡危急時遺言は、相続開始後の検認の手続きが別途必要です。
確認手続は遺言者の真意の確認のため、検認は遺言書の検証のために行われる手続きであり、目的が違うからです。
死亡危急時遺言が時間の経過により無効となる場合
死亡危急時遺言は、普通方式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)で遺言を作成できるほど病状が回復し、六か月が経過した場合には失効します。
緊急の場合に要件を緩和して遺言書を作成することを認められた制度であるため、普通方式で遺言を作成できるのならば、そちらの方法で作成するべきだからです。
遺言書の効果を維持したければ、遺言者が緊急の状態から回復し次第、できるだけ早めに普通方式で遺言を作成した方がよいでしょう。
まとめ
死亡危急時遺言は、緊急の場合に遺言書を作成できる最後の機会となり得るものであり、通常の遺言書よりも簡易な方式で作成することができます。
その分、遺言書の有効性が後々問題になりやすいため、作成の際にはできるだけ状況を録画・録音しておく等の工夫をされることをおすすめします。
最も望ましいのは、緊急状態になる前に、元気なうちから遺言書を作成しておくことですね。
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